
カイジの「三好・前田」はなぜ人気?読者を裏切ったクズが “なんJ” で愛される理由
賭博黙示録カイジ
福本伸行先生の『カイジ』シリーズには、数多くのクズが登場します。
極限状態に置かれた人間が、いかに醜く、利己的になるか。それを描くのがこの作品の醍醐味の一つでもあります。
しかし、その中でも「こいつらだけは格が違う」と、ネットで語り継がれるコンビがいるのをご存知でしょうか。
そう、三好智広と前田です。
彼らは、作中でカイジを裏切った後、二度と登場しないモブキャラに過ぎません。
それなのに、なぜかネット、特になんJ(現5chなんでも実況J板)周辺では、異常なまでの人気と知名度を誇っています。
今回は、この「キング・オブ・クズ」と名高い三好・前田が、なぜこれほどまでにネット民に愛され、ミーム化するに至ったのか。その理由を深掘りしていこうと思います。
地獄からの生還、そして最悪の裏切りへ
最初は「仲間」だった45組の絆
まず、彼らの裏切りがいかに悪質だったかを振り返っておきましょう。
三好と前田は、カイジが地下の強制労働施設にいた頃の仲間、「45組」のメンバーでした。
地下チンチロリンで大槻班長に挑んだ際には、カイジの仲間として共に戦い、読者からも「カイジの良き仲間」と認識されていたはずです。
カイジの奇策によって大金を得て、彼らは地獄の地下労働から解放されました。カイジは文字通り、彼らの命の恩人だったわけです。
「沼」編で見せたクズの片鱗、そして「17歩」での凶行
しかし、地上に出た彼らは、その金をあっという間に溶かし、再び借金地獄へ。
カイジと再会した時には、裏カジノの店長・村岡に飼いならされ、すっかり心がすさんでいました。
村岡は彼らにこう吹き込みます。「カイジはパチンコ『沼』で7億円を独り占めしている」と。
この嫉妬と、「借金棒引き+500万円」という報酬に目がくらんだ二人は、カイジをハメる計画に乗ることを決意します。
カイジと村岡の麻雀対決「17歩」。ここで彼らは、カイジを勝たせるフリをして、完全に裏切るというダブルトラップを仕掛けました。
命の恩人に対して、あまりにも卑劣で、救いようのない裏切りでした。
もはや芸術の域。三好の「自己正当化」という名の怪物
三好のクズっぷりが最も凝縮されているのが、裏切りを実行する直前の、あの有名なモノローグです。
構わない……!構わないはずだ….!カイジさんが得たであろう……….莫大な金を考えれば….あれっぽっち……….!今….擦ることになっても….痛くない….!カイジさんは大して痛くないっ……!そして……今回のこの「ネタ」で…………僕や….前田さんが……….借金棒引きと500万……!これくらい得るのは….当然っ….!当然….許される….!
これです。これですよ。
「相手は大金持ちだから、俺が多少奪っても痛くないはず」「むしろ、俺たちがこれくらい貰うのは当然の権利だ」という、もはや清々しいほどの自己正当化。
相手の事情を勝手に忖度し、自分の裏切りを「許される」行為だと結論づける。この思考回路こそが、三好が「キング・オブ・クズ」と呼ばれる所以なのです。
なぜ安藤より嫌われるのか?カイジクズキャラ頂上決戦
『カイジ』には、裏切り者のクズキャラとして「安藤守」という先達がいます。
鉄骨渡りの際、カイジと古畑を裏切った安藤も相当なクズですが、ネットの評価では「三好の方がヤバい」という声が圧倒的です。
なぜでしょうか。
これは俺の考察ですが、安藤の裏切りには、まだ「理解できる部分」があったからだと思うんです。
目の前で人が死んでいく極限の恐怖。大金を手にして舞い上がってしまう心理。それは、決して褒められたものではありませんが、「自分もあの状況なら…」と想像の余地が残されています。
しかし、三好・前田の裏切りは質が違います。
- 彼らは極限状態ではなかった。
- カイジは命の恩人であり、共に地獄を乗り越えた仲間だった。
- 動機が、逆恨みに近い「嫉妬」と「金銭欲」である。
特に「命の恩人を裏切る」という点が、読者の倫理観を激しく揺さぶるわけです。
安藤の裏切りが「パニック状態での犯行」なら、三好の裏切りは「計画的で陰湿な犯行」。その差が、ネットでの評価を決定づけているのではないでしょうか。
なんJが生んだ「逆張り不能のクズ」という名のエンターテイメント
なんJ民ですら擁護できない「完成されたクズ」
三好・前田の人気を語る上で、なんJの存在は欠かせません。
なんJには、世間で悪役とされるキャラクターをあえて擁護する「逆張り」文化があります。
しかし、三好・前田に関しては、この逆張り擁護がほとんど成立しません。
「なんJ民も引く程のクズ」「こいつだけは擁護できん」といったスレッドが乱立し、彼らのクズっぷりを再確認する流れが定番となっています。
つまり、彼らは「逆張りしようがないレベルの、完成されたクズ」として、一種のブランドを確立してしまったのです。
汎用性高すぎ。「構わない構わない」構文の誕生
そして、ミーム化を決定づけたのが、先ほど紹介した三好の自己正当化モノローグです。
この「構わない……!構わないはずだ….!」から始まる一連のセリフは、ネット上で「構わない構わない構文」として定着しました。
例えば、
- 「給料日前だけど、限定フィギュアが出た?構わない…!来月の俺が頑張ればいいだけだ…!」
- 「ダイエット中だけど、深夜のラーメン?構わない…!明日走ればカロリーはゼロになる…!」
このように、自分の欲望を正当化したいあらゆる場面で使える、非常に汎用性の高い構文なのです。
この使い勝手の良さが、三好の知名度を爆発的に高め、単なる作中のクズキャラから、ネットミームの象徴へと押し上げたと言えるでしょう。
クズなのになぜ愛される?我々の中の「三好智広」
さて、ここまでの話だと、彼らはただただ嫌われているだけの存在に思えます。
ではなぜ、嫌われているはずなのに、これほど頻繁に話題に上り、ある種の「愛されキャラ」のような立ち位置になっているのでしょうか。
ここからは少しゲスい話になりますが、おそらく多くの人が、三好の姿に「自分の中の醜さ」を少しだけ見てしまうからではないでしょうか。
成功した友人を見て「あいつばっかりズルい」と嫉妬してしまったり、自分の失敗を「まあ、相手も悪いし」と正当化してしまったり。
もちろん、三好のように命の恩人を裏切るなんてことはしません。しかし、彼の思考回路の「芽」のようなものは、誰の心の中にも潜んでいる可能性があります。
三好は、そんな我々の中にある「認めたくない利己的な部分」を、極限まで煮詰めて具現化したような存在なのです。
だからこそ、私たちは彼を「こいつはヤバい」「自分はこうはなるまい」と叩くことで、安心感を得る。
三好・前田を叩く行為は、自分の中の醜さを浄化する儀式であり、同時に「共通の敵」を叩くことで一体感を得る、ネット特有のエンターテイメントなのかもしれません。
まとめ:クズはクズでも、記憶に残るクズであれ
三好智広と前田。
彼らは、単なる物語の悪役を超え、「恩を仇で返す」「醜い自己正当化」の象徴として、ネット文化にその名を刻みました。
その裏切りは決して許されるものではありませんが、彼らがカイジという作品に強烈なインパクトと、人間の本質を突く問いを投げかけたことは事実です。
カイジから縁を切られ、おそらく再び地下に堕ちたであろう彼ら。
作中から姿を消してもなお、我々の心の中で生き(?)続ける彼らは、間違いなく『カイジ』史上、最も記憶に残るクズキャラと言えるでしょう。
皆さんは、安藤と三好、どちらがより許せないと思いますか? よかったら、あなたの意見も聞かせてください。
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