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【チャンソーマン】東山コベニという、不幸と強運が織りなす究極の“生存”キャラ

チェンソーマン
【チャンソーマン】東山コベニという、不幸と強運が織りなす究極の“生存”キャラ

『チェンソーマン』という混沌の坩堝のような作品の中で、ひときわ異彩を放つキャラクターがいます。

そう、東山コベニです。

いつもオドオドしていて、すぐに泣き叫び、読者の同情とイライラを同時に誘う彼女。

しかし、なぜか目が離せない。気づけば彼女の安否を気にしてしまう。

今回は、この不思議な魅力を持つキャラクター、東山コベニの本質に迫ってみたいと思います。

彼女は単なる「か弱いヒロイン」なのでしょうか? いや、俺はそうは思いません。

不幸のフルコースと、神をも欺く悪運

まずコベニを語る上で避けて通れないのが、その壮絶なまでの「不幸体質」です。

彼女の人生は、もはや不幸の博覧会とでも言うべき有様じゃないですか。

  • 優秀な兄の学費のために、半ば強制的にデビルハンターにさせられる。
  • 初任務では永遠の悪魔に精神をゴリゴリ削られ、デンジを殺そうとする。
  • 同期で自分を庇ってくれた荒井くんは目の前で殺される。
  • 地獄に落ちて闇の悪魔とエンカウント、両腕を奪われる。
  • やっとの思いでデビルハンターを辞めたら、転職先はパワハラ地獄のハンバーガーショップ。
  • 挙句の果てには、チェンソーマンとのデート(?)に巻き込まれ、ダンスを強要される。

これでもかと浴びせられる不幸の数々。普通の人間ならとっくに心が折れてますよ。

しかし、ここがコベニというキャラクターの真骨頂なんです。

彼女はこれだけの死線をくぐり抜けながら、なぜか絶対に死なない

腕がもげようが、地獄に落ちようが、なんだかんだで五体満足で生還する。この異常なまでの「生存能力」こそが、彼女の第一の魅力と言えるでしょう。

作者のデスゲームを生き残った女

さて、ここからは少しゲスい話になりますが、このコベニの生存能力、実はメタ的な裏付けがあるんです。

ジャンプフェスタでの作者インタビューによると、藤本タツキ先生は終盤、担当編集にこう尋ねたそうです。

「天使の悪魔とコベニ、どっちに生き延びて欲しい?」

担当編集は「天使の悪魔ですね。読者もおそらくそう思ってます」と答えた。それを聞いた先生は、「じゃあ天使の悪魔を殺す」と決めたというのです。

…すごくないですか?

つまり、彼女は読者の期待や物語の都合、さらには作者の「殺意」すらも、その悪運ではねのけて生き残ったわけです。

もはやキャラクターの枠を超えた、一種の“現象”ですよ、東山コベニは。

この「作者の神の手すらも回避した」という逸話が、彼女のキャラクター性に一層の深みと面白みを与えているのは間違いありません。

弱さと強さのアンバランスな同居

コベニの魅力は、ただ生き汚いだけではありません。

普段の彼女は、前述の通り泣いてばかりの小動物系女子。

「風俗かデビルハンターしか選択肢なかったんですぅ~!」

こんなセリフを涙ながらに叫ぶ彼女を見て、誰が凄腕のデビルハンターだと思うでしょうか。

しかし、一度スイッチが入ると、彼女は作中屈指の身体能力を発揮します。

サムライソードと沢渡アカネとの戦闘シーンは、まさに圧巻でした。

ヘビの悪魔の攻撃を軽々と回避し、サムライソードの腕を包丁で切り落とし、奪った銃で的確に撃ち抜く。

あの流れるような動きは、普段の彼女からは到底想像できません。

姫野先輩が「引っ込み思案だけどかなり動ける」と評価していたのも納得です。

この極端なギャップこそが、俺たち読者を惹きつけてやまない第二の要因でしょう。

平時は極度の「弱」。しかし、極限状況では覚醒した「強」を見せる。

この不安定なバランスが、「次はどんな動きを見せてくれるんだ?」という期待感を煽るのです。

明かされなかった「契約悪魔」の謎

そして、彼女の強さの謎をさらに深めているのが、最後まで「秘密」にされた契約悪魔の存在です。

作中で彼女がデビルハンターとして悪魔の力を使った描写はありませんでした。

あの超人的な動きが、果たして彼女自身のポテンシャルなのか、それとも契約悪魔の能力によるものなのか…。

結局、彼女がデビルハンターを辞めてしまったことで、真相は闇の中です。

この「語られなさ」が、ファンの間で「コベニの契約悪魔は幸運の悪魔では?」とか「実は死の悪魔と契約していて、死を遠ざけているのでは?」といった様々な考察を呼び、キャラクターとしての奥行きを広げているわけですね。

あなたなら、彼女の契約悪魔は何だと思いますか?

なぜか良きバディに恵まれる“コベニ引力”

不幸体質のコベニですが、こと「バディ運」に関しては、奇妙な幸運を発揮しています。

最初のバディである荒井ヒロカズ。彼は情緒不安定なコベニを励ます好青年でした。

そして、次にバディを組んだ暴力の魔人。彼もまた気さくな性格で、「食べてる幸せそうなコベニちゃん見てたいの」とアイスを奢ってくれるなど、非常に良好な関係を築いていました。

家族からは搾取され、バイト先ではいびられる彼女が、なぜかデビルハンターという命のやり取りをする現場においてだけ、心優しいパートナーに恵まれる。

この皮肉な巡り合わせも、また彼女らしいと言えるかもしれません。

彼女が持つ「放っておけなさ」が、周りの人間の庇護欲を掻き立てるのでしょうか。

そして忘れてはならないのが、もう一体のバディ、「コベニの愛車」です。

人気投票で7位にランクインした、あの車です。

買ってもらったばかりの愛車を、マキマさんに半ば強奪され、挙句の果てにデンジにボコボコにされるシーンは、彼女の不幸を象徴する名場面(迷場面?)でした。

人間以外の「所有物」にまで不幸が及ぶあたり、もはや芸術の域に達していると言えるでしょう。

結論:我々は東山コベニの“生存”を見届けたい

ここまで語ってきたように、東山コベニというキャラクターは、単純な記号では語れません。

彼女は「か弱いヒロイン」であり、「超人的な戦闘員」でもある。

「極度の不幸体質」であり、「異常なまでの強運」の持ち主でもある。

この相反する要素が、危ういバランスの上で同居しているからこそ、俺たちは彼女の一挙手一投足から目が離せなくなるのです。

次に彼女を襲う不幸は何か? そして、彼女はそれをどうやって生き延びるのか?

そのハラハラ感こそが、東山コベニというコンテンツの最大の魅力なのかもしれません。

第一部を奇跡的に生き延びた彼女。第二部では、彼女そっくりの弟、東山ノバナが登場しました。

彼もまた、姉と同じく不遇な扱いを受けているようです。

東山家の物語は、まだ始まったばかり。俺たちはこれからも、この不幸で幸運な一族の“生存”を、固唾を飲んで見守っていくことになるのでしょう。

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