
「強さ」に取り憑かれた悲しき拳鬼、猗窩座。なぜ俺たちは彼に惹かれてしまうのか?
鬼滅の刃
『鬼滅の刃』という作品の魅力は、主人公サイドだけじゃありません。
敵である「鬼」たちにも、それぞれ壮絶な過去と譲れない信念がある。
中でも、多くの読者や視聴者の心に深く刻まれた存在がいます。
そう、上弦の参・猗窩座です。
劇場版「無限列車編」での衝撃的な登場と、煉獄さんとの死闘。
あの絶望と怒りと、そしてどこか惹きつけられる感覚を忘れた人はいないでしょう。
今回は、なぜ俺たちがこれほどまでに猗窩座というキャラクターに心を揺さぶられるのか。
その魅力の本質を、少し深掘りして語っていこうと思います。
武人としての純粋さと、拭いきれない「人間臭さ」の矛盾
猗窩座の第一印象は、なんと言っても「武闘派」の一言に尽きます。
強者には敬意を払い、弱者は徹底的に見下す。
その価値観は、シンプルで、ある意味では純粋です。
煉獄さんに対して満面の笑みで「お前も鬼にならないか?」と勧誘する姿は、彼の信念の現れでした。
「素晴らしい才能が老い、朽ちていくのは耐えられない」
これは、彼なりの最大限のリスペクトであり、歪んだ形での優しさだったのかもしれません。
しかし、彼の行動をよく見ると、純粋な武人とは言い切れない矛盾が見えてきます。
その最たるものが、夜明け前の「逃走」です。
炭治郎から投げつけられた魂の叫び。
「逃げるな卑怯者!!!」
この言葉に、猗窩座は青筋を浮かべるほどブチ切れます。
本当に純粋な武人なら、あるいは鬼としての生存本能を肯定しているなら、ここまでキレるでしょうか?
図星を突かれたからこそ、彼は激昂したのではないでしょうか。
武人としての誇りと、鬼としての生存本能の板挟み。
この矛盾こそが、彼のキャラクターに深みを与えているのです。
決して女性には手を出さない「謎ルール」
そしてもう一つ、彼の大きな特徴として「女性は喰わないし、殺さない」というルールがあります。
これは鬼としては極めて異例。
鬼殺隊の隊士であろうと、このルールは徹底されていたようです。
作中ではその理由はすぐには明かされませんが、この「謎のこだわり」が、彼の根底に何か重要な過去があることを、読者に強く匂わせます。
ただの戦闘狂ではない、何かを失い、何かを守ろうとした記憶の残滓。
この拭いきれない「人間臭さ」が、俺たちを惹きつけてやまないのです。
愛すべき中間管理職?組織での苦労人体質
猗窩座の魅力を語る上で外せないのが、十二鬼月という組織内での立ち位置です。
これがまた、涙を誘います。
上司である鬼舞辻無惨からは、理不尽なパワハラを受ける日々。
無限列車での戦果を報告すれば、
「お前には失望した」
と血反吐を吐くまで叱責される始末。
もはやブラック企業の上司そのものです。
あれだけの成果を上げても褒められず、わずかなミスを責め立てられる。
この姿に、現代社会で戦うサラリーマン諸氏も同情を禁じ得ないでしょう。
さらに人間(鬼)関係も大変です。
格上である上弦の壱・黒死牟には、反骨心を抱きつつも逆らえない。
そして何より厄介なのが、格上であり後輩の上弦の弐・童磨。
馴れ馴れしく絡んでくる童磨に、猗窩座は苛立ちを隠さず、顎を殴り飛ばすシーンはもはや名場面。
あれだけ強さを追い求める彼が、序列という組織のルールには縛られている。
このギャップが、彼の「苦労人」としての側面を際立たせ、妙な親近感を抱かせるのです。
戦場では絶対的な強者なのに、会社(無限城)に帰れば気苦労が絶えない。
頑張れ猗窩座、負けるな猗窩座、と応援したくなる気持ち、あなたにもわかりませんか?
【※ネタバレ注意】過去が明かす「本当の弱者」とは
さて、ここからは彼の過去、人間「狛治」としての物語に触れないわけにはいきません。
猗窩座の魅力の核心は、この悲劇的な過去にこそあります。
病気の父のために盗みを働き、大切な人たち(師範と恋雪)を得て、そして理不尽にすべてを奪われる。
彼が憎んだ「弱者」とは、一体何だったのか。
それは単に力がない者ではありませんでした。
毒を盛るという「卑劣な手段」で彼の幸せを奪った者たち。
そして何より、大切な人を守れなかった自分自身の「弱さ」。
彼が強さに執着したのは、二度と何も失わないため。
鬼になることで、人間時代の弱さを、悲しみを、すべて忘れようとしたのです。
無限城での炭治郎との最終決戦。
炭治郎が放った言葉が、彼の心の奥底に突き刺さります。
「強い者は弱い者を助け守る そして弱い者は強くなり また自分より弱いものを助け守る これが自然の摂理だ」
これは、かつて師範が彼に教えたかったこと、彼が守りたかった人たちとの間で築きたかった世界そのものでした。
首を斬られてもなお戦い続けようとした猗窩座。
しかし、脳裏に浮かんだのは、恋雪の「もうやめて」という言葉でした。
彼は、自らの拳で自らを破壊します。
それは、敗北ではありません。
強さへの執着から解放され、人間「狛治」としての心を取り戻した、彼の「勝利」だったのです。
守るべきもののために強くなりたかった男が、守るべきものを失い、強さそのものに取り憑かれてしまった。
その哀しき物語の終着点として、これ以上ない幕引きだったと言えるでしょう。
まとめ:彼はただの悪役ではなかった
猗窩座の魅力とは何か。
それは、圧倒的な強さとカリスマ性の裏に隠された、脆く、痛々しいほどの人間性です。
彼の言動の一つ一つは、すべて人間時代の悲劇に繋がっていました。
強者への敬意は、師範への尊敬の裏返し。
弱者への憎しみは、卑劣な敵と無力だった自分への嫌悪。
女性を手にかけない誓いは、恋雪への愛の証。
彼は最後まで、愛する人たちの呪縛から逃れられなかった、最も人間らしい鬼だったのかもしれません。
ただの「煉獄さんを殺したヤツ」ではない。
「真の強さとは何か」を、その生き様と死に様をもって俺たちに問いかけてくる存在。
だからこそ、俺たちは猗窩座というキャラクターに、強く、そしてどうしようもなく惹かれてしまうのです。
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